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【映画】優柔不断な日本人の民族性を面白おかしく描いた傑作「12人の優しい日本人」

「12人の優しい日本人」は本家「十二人の怒れる男」との直接的な比較は出来ません。それは本作が日本人特有の民族性に重点を置き、たとえ原作のパロディであろうと、全く別の方向を向いた作品のため比較にならないからです。

日本人の民族性とは集団に過剰適応する優柔不断さであり、本作はその欠点ともとれる気質にスポットライトを当て映画として作り上げているのです。

日本人にしか分からない「ツボ」を感じさせる作品でした。

 

あらすじ

ある殺人事件を審議するために12人の陪審員が集められた。全員、職業・年齢もバラバラな無作為に選ばれた人々である。被告人は若くて美人だったことから審議は概ね無罪で始まり、すぐに終わるかに見えた。しかし、討論好きの陪審員が一人一人に問い詰めたことから、審議は意外な展開へ進展していく。果たして被告人は有罪になるのか、無罪になるのか、すべては12人の日本人(陪審員)に託された。

※あらすじでは「裁判員制度」ではなく「陪審員制度」と記載しました。

 

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見どころ

制作当時「もし日本に裁判員制度が導入されていたら」と架空の設定上で作られた作品です。

皆さんは日本人の民族性と言えば何を思い浮かべますか。私は「情が厚い」「優柔不断」「集団に過剰適応する」「細かい点が気になる」「保守的」「議論と喧嘩を勘違いする」などを思い浮かべます。

本作では裁判員制度を通して、これらの日本人の民族性を面白おかしく表現しています。

 

まさに「三谷幸喜ワールド」全開の作品で、舞台演劇を観ているような錯覚を覚えました。観客を「自分の世界に引き込む巧さ」は演劇家・三谷幸喜の右に出るものはいませんね。巧いです。

 

登場人物はタイトルの通り12人(以上)登場しますので、一般的な映画に比べると多いと思います。しかし、一人一人の個性付けが明確であり、分かりやすくなっていますので、ご安心下さい。

 

途中のやり取りはあまりに「日本人らしく」少々イライラとさせられる場面もありますが、きっと三谷幸喜はこれを表現したかったのでしょう。結論を出すことを苦手とする日本人が自分に当てはまりすぎて笑ってしまいました。

 

まとめ

現在、日本でも裁判員制度にて審議をすることがあります。

裁判員制度の審議では決して感情的にならず、他人の意見に惑わされることなく、事実と根拠に基づき自分の答えを出す必要があります。

この映画は「他人が他人を裁く」ことの難しさを改めて感じさせるものとなっています。

皆さんも裁判員制度の疑似体験をしてみませんか。是非。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。