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【映画】覚悟を決めてから観るべき作品「冷たい熱帯魚」感想

これは人間の身勝手で凶暴で哀しい性(サガ)を投影した作品だ。実際にあった「愛犬家殺人事件」をモチーフにしているものの、エンターテイメント要素を過分に加えて脚色しているため別物と言っても過言ではない。

しかしながら、同じ手口で殺人や死体処理が行われたらしく正直気分が悪くなってしまった。殺人鬼・村田が死体処理中に口にする「ボディを透明にする」と言う表現は実際の事件でも使われていたらしい。

こうしてみると実際の殺人や死体処理なんてものは我々一般人からするとリアリティに欠ける話なのかもしれない。いや、本来はそうあるべきだろう。

 

あらすじ

熱帯魚店を営んでいる社本(吹越満)と妻の関係はすでに冷え切っており、家庭は不協和音を奏でていた。ある日、彼は人当たりが良く面倒見のいい同業者の村田と知り合い、やがて親しく付き合うようになる。だが、実は村田こそが周りの人間の命を奪う連続殺人犯だと社本が気付いたときはすでに遅く、取り返しのつかない状況に陥っていた。 (「Yahoo!映画」より)

 

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登場人物

まず外せないのが、殺人鬼・村田(でんでん)である。村田の明るく軽快なトークは親しみやすくて情が深い下町の頼れるオヤジを連想させる。それは主人公・社本(吹越満)が持ち併せていないカリスマ性を感じさせるものとなっている。

しかし、裏の顔は他人を私利私欲のために殺害し鼻歌交じりに解体する変態である。しかも、面倒なのが他人を巻き込むトラブルメーカーである点だ。

この2面性が完璧に表現されていた。お見事。

 

この映画では圧倒的な殺意を前にすると「人は心を崩してしまう」事が表現されている。村田の様な絶対的な悪にひれ伏した瞬間、人間としての尊厳や理性は吹き飛び、心は崩れ落ちてしまうのだ。

社本のように本来は気が弱くて、妻子に頭が上がず、日常的にストレスを溜め込んでいる人間は特に心が崩れやすいのかもしれない。一度、心が崩れてしまうと元の人間には戻れない。別の人格になってしまう。

映画中、この心が崩れる過程があまりにも不快で途中で観ることを辞めたくなる。しかし、この映画の醍醐味はその不快感にあるのではないだろうか。

 

演出

この作品はエロティクでグロテスクな表現が多いのだが、それに熱帯魚店特有の青緑を基調とした色彩が不気味さに拍車をかけている。少し過剰演出気味であるが、映画としては有りかも知れない。

実際の出来事を映画として作成する場合、多かれ少なかれ脚色が入る。その脚色が多ければ多いほどエンターテイメント性に富んだ作品となる。

この作品は特に脚色が多いのでエンターテイメントに重きを置いているように感じた。だから、過剰演出でも許せるのだ。

なお、脚色が多い作品が必ずしも面白い訳ではない事を申し添えておく。

 

まとめ

この「冷たい熱帯魚」はサスペンス・ミステリィではなく、ホラーの類と言える。そこを理解せずに観てしまうと、作品の粗探しをして本来見るべきものが見えなくなってしまう恐れがある。ホラー映画と割り切る事がこの映画を一番楽しめる見方なのかもしれない。

ちなみに私は2度とこの映画を観ないだろう。

 

じゃ。

 

byアホウドリ