或る阿呆鳥に呟く。

~ジュニアテニス、映画、雑記、何でもありの備忘録〜

【雑記】大きな夢が無くても挫折はするぜ 〜剣道の勝負〜

今週のお題::夢と挫折

 

夢も無ければ挫折も無い、そんな人生を送ってきたと最近まで思いこんでいた。

 

小さい頃から本気で何かに取り組む事が苦手だった。勉強だけではなくスポーツにおいても、我武者羅に頑張る事が駄目だった。生半可に要領よく何でも出来る事が強みで、努力らしい努力をする事がなかったのがいけなかったのだろう。

 

最近になってようやく挫折していた事を思い出した。

 

私は剣道を小学2年生から始めた。運動はそれなりに得意だったので習い始めた当時は瞬く間に上達し、仲の良かった親友「A」にも負けないぐらいだった。彼とは親友でありながらライバル、絵に描いたような関係を築いていた。

 

当時の私の強さは幻想だった。

 

中学生になると別のスポーツに興味が行ってしまい剣道は辞めた。その後、そのスポーツもあっさりと辞めてしまいグータラな日々を過ごしていたのだが、ひょんな事から高校に入って剣道を再開することになった。高校3年生の頃には部長を任された。

そして、更にひょんな事から他の高校に進学していたAと合同練習をする事になったのだ。

 

合同練習当日、彼は1人で私の学校に来た。まさに、道場破りのようなもだ。

 

剣道は面白い。いくつになっても、小さい頃の癖や剣筋、そして得意技は変わらない。それはAも私も同様だった。

Aの得意技はズバリ面だ。愚直な彼は渾身の一撃を面にかけていた。それに対して相手が打つ瞬間、出会い頭の小手を狙う、それが私の戦い方だった。Aを剛に例えるなら私は柔だ。私の剣筋はとても変則的で読みにくいらしく、これが最大の武器だった。

 

剣道場の外ではセミが煩く鳴いていた。練習試合開始、Aの声が道場に響き渡った。Aが馬鹿正直に間合いを詰めてくる。ズッ。それに対して私は自分の間合いに引き離す。スッ。そんなやり取りが十数回繰り返された。

膠着状態。そう思った瞬間、Aが軽いフェイントを入れて得意の面に打って出た。打つ直前に顔が僅かに上がる癖は昔のライバルだからこそ分かる程度。その瞬間、Aの小手はガラ空きだ。変わらない奴め!と思い、小手を狙った。

 

が、Aの面が先に私を捉えた。早い。

 

確かに昔のAの面影はある。しかし、そこに居たのはかつてのAではない。その後、何度やっても小手が決まらない。Aの面に合わせるとタイミングが遅れ、こちらから仕掛けると綺麗にかわされる。

吹き出した汗は鼻を伝い口に落ちる。そして、お互いが「ここだ!」と思った瞬間、同時に渾身の面を放った。

 

決めたのはA。強かった。

 

彼に後から聞くと学校のクラブ活動以外にかつての道場にも通って腕を磨いていたらしい。

剣道は自分よりも強い相手と練習をしなければ伸びない。俺1人、ツエーの世界ではないのだ。

 

かつてはライバルとお互い認めていた。そんな関係が崩れた瞬間であった。負けて当たり前だ。これが挫折だったのかなと思い出した。これ以降は未来の自分に恥じないように今を生きているつもりだ。ちなみにAとはこれが最後の試合となった。

 

4歳の息子はテニスをしている。今は「遊び」の域を出ていない。いつか、勝てないと思う相手と対戦し、きっと挫折を味わうだろう。

挫折を味わう事でその時の自分(の力)を見直すだろう。大切なのはその後の行動だ。

 

その事をどう伝えようか今から悩んでいる自分がいる。これを考えながら今日も夢を見よう。じゃ。

 

byアホウドリ

Netflix火花お題「夢と挫折」

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