或る阿呆鳥に呟く。

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【映画】新しい親子の関係「バケモノの子」感想

人間とバケモノの師弟以上、親子未満の複雑な関係に青春恋愛要素を織り交ぜて描いた細田守監督、渾身の作品。どこか「千と千尋の神隠し」を訪仏とさせるバケモノの世界は細田守監督と宮崎駿監督(ジブリ)の確執に所以するのかもしれない。

それは我々観客からすると別次元の話であり、ここでの言及は必要ない。しかしながら、一言だけ申し添えるのなら、政治の世界では後出しジャンケンは有利と言われるが映画の世界ではそうではないという事を思い知らされた。

この映画を観て「あの頃のジブリは勢いがあった」と別の作品を思い出してしまったのだ。これはとても残念な事だ。

 

ghibli.jpn.org

 

あらすじ

人間界「渋谷」とバケモノ界「渋天街」は、交わることのない二つの世界。ある日、渋谷にいた少年が渋天街のバケモノ・熊徹に出会う。少年は強くなるために渋天街で熊徹の弟子となり、熊徹は少年を九太と命名。ある日、成長して渋谷へ戻った九太は、高校生の楓から新しい世界や価値観を吸収し、生きるべき世界を模索するように。そんな中、両世界を巻き込む事件が起こり……。(「シネマトゥデイ」より)

 

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所感

子供の頃、別の世界に繋がっていそうな場所をドキドキしながら探検をした事がある。この映画はありえない世界に迷い込んでしまった少年の話だ。これだけ聞くと少年の冒険記のように思えるが実際のところはそうではなく、寧ろ冒険記を期待してしまうと肩透かしを喰らってしまうので注意願いたい。
 
この「バケモノの子」には製作者が伝えたいメッセージが込められている。しかし、これを読み取れるのは少し大きな子供からかもしれない。

抽象的な表現をするジブリとは違い、この映画は具体的に言葉で伝えようとしている。だからこそ、小さい子供が理解できない小難しい話が登場するのである。逆に私のような大人からみると言葉に頼りきっている印象を受ける。これが世間の評価だろう。

 

私は予てより「アニメの生命線は声優」だと言っている。しかし、私の小言などは製作者に届く事もなく、俳優が本業の片手間に声優を兼ねる時代である。

俳優が主要キャラを務め、声優がサポートをする。俳優としては1流かもしれないが、それがそのまま声優の評価に繋がる訳ではない。その辺りがモロに出てしまったのが本作である。特に主人公・九太を演じた染谷将太が残念であった。

 

そう「そのまんま染谷」である。 かつて「ゲド戦記」を猛烈に批判した事を思い出した。

 

www.sakonet.jp

 

誤解なきよう申し添えるが、概ね声優陣は巧かった。殆ど芸能人で埋め尽くされている声優陣(構成)には違和感を感じざるをえないものの、意外とどうにかなるのだ。

でも、アニメの場合は絵と声の少しの乖離が違和感を生む。この辺りが難しいところだと思う。

 

作中でこんな表現がある。「闇」をまとうのは人間だけだ。そうなのかも知れない。他の動物は人間のような深い闇を持ち合わせないのだろう。こういった1つ1つの場面を切り取ると納得が行くのだが、どうにも纏め方が上手くなかった。

この辺りは私の主観が大いに入ってしまう所なのだが、やはり支離滅裂な印象を受けた。物語の前半と後半では全く作品のニュアンスが変わってしまっている。

 

まとめ

期待していた作品だけに厳しい評価になってしまった。もちろん、あらすじと絵を見ての判断であったので仕方がないのだが、もう少し丁寧な心情の変化を描いてほしかった。

細田監督の作品が優れているのは登場人物の心情の変化の描き方ではないか。そういったところが本作では見れなかったのが残念であった。 

 

byアホウドリ