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【映画】人ではなく恐竜が主人公の異色作品「アーロと少年」感想

これまでに製作されたピクサー映画の中においては「いぶし銀」的な作品であった。

物語は「隕石が地球にぶつかっていなかったら」という「たられば話」なので、最低限隕石の衝突と恐竜が絶滅してしまった因果関係を知っておく事が映画を楽しむ条件となる。その為、小さい子供と観る場合はこれらを簡単に教えておいてあげるとすんなりと映画に入れるだろう。寧ろ、それを知らなければ作品が意図する事の半分ほどしか伝わらない様に感じた。

本作は言葉の話せる恐竜と言葉の話せない人間の友情を大自然に投影した壮大な作品だ。

 

あらすじ

3きょうだいの中でも体が小さな末っ子アーロは、甘えん坊で臆病な性格のため、常にみんなにからかわれていた。アーロは体が大きい兄や姉たちに少なからず劣等感を抱いていたが、両親の深い愛情に包まれてすくすくと育っていく。だが、ある日、アーロは川の急流にのまれ、たった一人で見覚えのない場所にたどり着き……。(「シネマトゥデイ」より)

 

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所感

文明・知能が発達した恐竜に対し、人間は下等生物として存在している世界。アーロ(恐竜)たちは住居を構え、畑を耕し、食物を倉庫に保管して冬に備えていた。決して手先が器用ではない恐竜。そんな恐竜に知恵を与え、恵まれた体を活かし生きるための方法を導き出したやり口は個性を大切にするピクサーらしい作品であった。

ちなみにアーロは「アパトサウルス」という恐竜である。私は恐竜には詳しくなかったので知らなかった。苦笑。

 

恐竜の化石には太古のロマンが秘められている、と語る人もいるだろう。そう、雄大な自然の中で日々繰り返される食物連鎖、その頂点にかつて君臨していたのが恐竜なのであるが、この映画では言葉を話せる分、恐竜らしさが薄れてしまい別の生き物として描かれている。本能で生きるのではなく、知恵を使い現代人と同じように生きているので、初めは違和感を感じるがすぐに慣れる。

 

大自然の中で繰り広げられる小さな恐竜の奮闘こそが本作の主題となる。全編を通して家族愛、自立、友情の大切さを教える展開は素晴らしい。しかし、どうも演出が大人向けの様な気がする。確かに小さい子供が観てもキャラクタや動きで楽しめると思うのだが、本作の本質には触れる事ができないと感じた。

 

この映画は「恐竜」がメインである事は間違いないのだが、それが「恐竜でなければならなかった」理由ではない。なんとなく他の生物でも似た様な映画ができるのではないかと思ってしまった。

やはり恐竜をモチーフにするからには他の生物では表現出来ない迫力のある戦いが見たかったな。

例えば空中戦など。その辺りの広がりが無かった事が残念だ。

 

まとめ

先にも述べた通り、子供向けのアニメーションと大人向けの演出が少々ちぐはぐな印象を受けた。言いたい事は分かるのだが…、とつい言いたくなってしまうところが惜しい。

子供と大人の両方が楽しめるアニメを作る事は難しい。でも、それをこれまでもやってのけたのがピクサーだと思う。だからこそ、今回は厳しい評価になってしまったのかも知れない。

 

byアホウドリ