或る阿呆鳥に呟く。

~ジュニアテニス、映画、雑記、何でもありの備忘録〜

【お題】私と黒い鳥

夏の暑い日の朝、颯爽と電車を降りた私は会社への短い道のりを1人歩いていた。周りにはホームレス、ゴミ、白い鳩、ゴミ、そしてまたホームレス。国に見捨てられた都市なのかホームレスに荒らされた環境のせいなのか、兎に角町には活気がなかった。私はこれから始まるデスクワークという名の聖戦に向けて精神を統一(音楽を聴いていた)していたので、外部に対する警戒心は希薄となっていた。

 

青空。ふとした瞬間、不意に何者かが私の頭を叩いた。叩いたと書くと誤解を与えそうなのでキチンと表現すると「柔らかいボストンバックが後頭部に投げつけられたような衝撃」を感じた。やれやれ、ホームレスの仕業か、と呆れながらも「ヤルノカ、コノヤロー」と臨戦態勢をとりつつ振り返った。しかし、そこには誰もいない。そして、何もない。私の肩には黒い羽らしきものがあるだけ。暫く、自分の身に何が起こったのか理解できなかった。空を見上げると1匹のカラスがけたたましく鳴いている。それは鳥の鳴き声ではなく恐ろしく敵意をむき出しにした咆哮だった。そのカラスを目で追っていると、私の頭の上をぐるぐると旋回し続けていることに気が付いた。

 

犯人はコイツなのか。

 

カラスは電柱にとまり頭上から私を威嚇し続けている。誰かが「猿と目線を合わすな」と言っていたことを思い出した。しかし、「カラスと目を合わすとな」とは言われていない。私は無慈悲なカラスの眼を見た。確実に獲物を見る眼だ。そんな私(獲物)を逃すまいとして、カラスは襲いかかってきた。姿勢を低くして攻撃を2度、3度避ける。カラスの爪が頭上をかすめる度に羽音が耳を突く。私には武器がない。棒さえあれば剣道有段者の実力を出せるのに、と悔しかった。かつて空手を習っている友達に「剣道は武器が無ければ弱い」と言われてしまったので、「剣道で心を鍛える」と負け惜しみを言ってしまったことを思い出していた。走馬灯が脳裏を駆け巡っていたのだろう。ちなみにカラスの最初の一撃で私の剣道で鍛え上げた強いはずの心は無残に砕け散っていた。南無〜。

 

何とか屋根のある場所まで命からがら逃げ込んだ。一息ついて、額から滴り落ちる赤い汗を拭って…赤い?ナンジャ、コリャ。どうやら最初の不意打ちで頭をやられてしまったらしい。悔しい。かくして、我々の戦いは幕を閉じた。その日は釈然としない時間を過ごす羽目になってしまった訳だが、理由は明白だった。

名前も知らないカラスに不意打ちを食らう。こんな避けようがない理不尽な悔しさをどこにぶつければいいんだ、と嘆いたときに、この記事を発見した。

 

kokounobonjin.hatenablog.com

 

2CH風に言うならばクソワロタだ。今週のお題「私のブログ・ネット大賞2016」に選出させて頂いた。今後も面白い記事をお願いします。じゃ。

 

PS.カラス怖すぎ。繁殖期は頭上に注意!

 

byアホウドリ