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【映画】めんどくさいから殺していい?「ヒメアノ〜ル」(R15)感想

原作(漫画)は読んでいない。主演の森田剛が素晴らしいとの評判だったので観たかった作品だ。遂にDVDで観る事が出来たので所感を記す。

 

あらすじ

普通の生活に焦燥感を抱くビル清掃会社のパートタイマー岡田(濱田岳)は、同僚からカフェの店員ユカ(佐津川愛美)との恋の橋渡し役を頼まれる。彼女が働くカフェへと足を運んだ岡田は、高校時代の同級生・森田(森田剛)と再会。ユカから森田につけ狙われ、ストーキングに悩まされていると相談された岡田は、森田がかつていじめられていたことを思い出し、不安になるが……。(「シネマトゥデイ」より)

 

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当方、ジャニーズが主演している映画には過大な期待をしないようにしている。それは演技力云々の話ではなく彼らには暗黙のルールとして「超えられない一線」があったからである。ジャニーズが演じる殺人者はクレバーで美しく表現され過ぎており殺人者としての狂気が霞んでしまっている事が多かった。また、必要以上に哀しい過去や同情を誘うエピソードを混ぜ込む事で「本当は悪くない」ような描写が多かった事も苦手なところだった。ジャニーズ流の見せ方といってしまえばそれまでだが、それは私が求めている映画や演技ではなかったのだ。しかし、この森田剛はその一線を遥かに超えていた。この映画で彼が見せた秩序を微塵も感じさせない素行や言動は煌びやかなステージで見せるV6としての顔からは程遠く文字通りクズである。もちろん、これは最大限の褒め言葉として受け止めて頂いて結構だ。

そして、暴力や殺人、レイプなどの犯罪に縁がない青年を演じるは濱田岳。夢も希望もない今時の若者感が良い。社会で疲弊し自分の不遇を自虐的に語る濱田の姿は自分自身と重なる人も多いと思う。普通の人間ならば森田ではなく浜田の方に共感を持つだろう。だからこそ、森田の異常な行動が際立ち観ているものを掴んで離さない。森田の対極に濱田を起用したのは最高だった。

また、忘れてはいけないのがムロツヨシ。最近、バラエティに多数出演し人気上昇中の彼だが、この作品でも目が話せない存在であった。無駄にポジティブ、無駄にアクティブ、そして無駄に正義感の強い彼の姿は主演の2人を飲み込む存在感があった。この狙っても出せるようなものではないキモさは演技を超えた彼本人のオーラではないか。これも褒め言葉である。

異常な森田剛と普通の濱田岳、そしてキモいムロツヨシが映画を引っ張っているのである。面白くない訳がない。

 

粗筋は何処かで聞いた事があるような印象を受けるが、個人的にはキャラクタありきの映画だと思うので、無理やり紆余曲折を混ぜ込む展開にせず、構成を分かりやすくした事は評価したい。しかし、ミステリィが好きだからという理由だけで本作を観ようとするのは止めた方が良さそうだ。推理的な要素は皆無で過度のバイオレンスなシーンがある。その事を念頭に置き鑑賞願いたい。

 

序盤の緩やかな展開から一変、中盤から終盤にかけては怒涛の森田ラッシュだ。レビュなどでシリアルキラーやサイコパス、快楽殺人者などの表現をされているが実のところ特別な印象はない。寧ろ特別な感じがしないからこそ感じる日常に潜む狂気があった。

この映画は分かりやすい。見た感じ普通の人が実は殺人者だったのではなく見た目からして危なそうな奴が殺人者なのだ。この当たり前感が「ヒメアノ〜ル」の怖さなのかも知れない。内面は外面に現れるのだろう。じゃ。

 

byアホウドリ