或る阿呆鳥に呟く。

~ジュニアテニス、映画、雑記、何でもありの備忘録〜

【ジュニアテニス】〇〇ゾーンの使い手現る。

U12のとある公式戦。今回は息子ではなく、同じスクールに通うA君から聞いた話。テニスというスポーツの奥深さを感じたエピソードなので紹介したい。

 

まずは、登場人物から。

A君(小5)

A君は強烈なフォアハンドと細かく丁寧なフットワークを武器に戦うストローカー。

サーブは多少ムラがあり、ボレーやドロップショットなどのテクニックはこれからかもしれないが、ガッツあるプレーで見ているものを楽しませてくれるスケールの大きい選手。

 

Y君(小4)

今大会でA君と対戦した県トップクラスの実力者。Y君はすべてのショットの精度がとても高いオールラウンダー。

左利きから繰り出されるフォアハンドは前後左右に打ち分けられるコントロールと強烈なスピンを持ち合わせている。そして、リターン有利と言われるジュニアテニスにおいてもサーブで点数を量産できる攻撃的なスタイルで、小さい頃から県トップを走っている選手。

 

打倒Y君の作戦

試合前日、A君はコーチと打倒Y君の作戦を練っていた。まず、何より厄介なのは左利きから放たれる強烈なフォアハンド。これを封じなければ勝機はない。

コーチとの話し合いの結果、フットワークで翻弄し、Y君のバックハンド(高め)を狙うというシンプルながら王道の作戦に落ち着いた。

私も、この作戦は大賛成だった。A君のフォアハンドも県で指折りだから、A君のフォアハンドとY君のバックハンドの対決になるときっと良い試合になると思ったからだ。

 

試合

作戦は的中した。4ゲーム目まで素晴らしい試合運びでA君はY君に対して互角以上の戦いを見せた。作戦どおりA君はY君のバックハンド(高め)にボールを集めており、流石のY君も攻めに転じられない。そして、少しでもY君が甘いボールを返すと、すかさずA君は強烈なフォアハンドでポイントを重ねていく。誰もが「勝てる」と思うような試合運びだった。

 

しかし、5ゲーム目、突如Y君のフォアハンドが決まり始めた。依然、A君はしっかりとY君のバックハンド側を狙っている。確かに、Y君は多少ポジションを変えたのかもしれないが、徐々にY君がフォアハンドで返す確率が増え、A君は防戦一方の展開になっていく。

 

Y君のオープンコート(隙)が無い訳ではない。しかし、A君のボールは何故だかY君にフォアハンドで取られてしまう。

まともなストローク戦では勝機を見出せないと感じたA君はボレーやドロップショットなどで試合の流れを変えようと試みるがY君の勢いは止められず、A君が強引に打ったショットはネットを超えない。終盤はA君のミスが増えてしまい、そのままゲームセット。

 

試合後

A君に話を聞いたところ、「最初から最後まで相手のバックハンド(高め)にボールを集中させようとした。でも、どう打ってもフォアハンドで取られてしまう」と言っていた。

 

また、「フォアハンド側に打たされる」とも言っていた。

 

これって、テニスの王子様の手塚ゾーンでは…

 

手塚ゾーン

打球の回転を自在に操ることで、相手の打球を自分の立っている場所へ戻ってくるようにする技のことです。(「テニスの王子様の学園」より)

 

アニメの中の大技なので現実ではこんなことありえないのかもしれない。でも、少なからずA君からするとそれに近い感覚だったらしい。

 

Y君が手塚ゾーンの使い手かどうかは定かではないが、少なくとも自分のフォアハンド側に打たせる技術、そしてボールの軌道を早めに予測してベストなポジションで力強く打ち返す技術を持っていることは事実。

 

これが「強い選手」なんだろうね…