先日のオレンジボール大会から数週間後、息子はグリーンボール大会のコートに立っていた。(8歳9ヶ月)
前回のオレンジボール大会の記事はこちら。
蝉すら熱中症になりそうな暑い日、息子は初めてグリーンボール大会に出場した。
これまで出場していたレッドボール大会やオレンジボール大会では使用するコートの大きさが制限されていたが、グリーンボール大会からはコート全面を使用して試合を行うこととなる。
テニスコートは不安と孤独を感じさせるには十分な大きさだということを思い知らされた。
試合前
大会運営から軽く試合進行の説明があった後、アップらしいアップをする間もなく、すぐに息子の名前が呼ばれた。
「〇〇選手、△番コートで試合をして下さい」
息子は私の方を向き、緊張と不安を合わせたようなぎこちない笑顔で一言。
「じゃあ、行ってくるわ。」(ニカッ!)
息子は小さな背中に大きなラケットバックを背負い、ゆっくりとコートに足を踏み入れた。そして、自分のベンチにラケットバックを丁寧に置き、ラケットと水筒を取り出した。相手選手と一連の形式的な挨拶を行い、いよいよ息子の戦いが始まった。
試合(サーブ練習)
フィッチの結果、相手選手(2歳年上)からサーブ練習が始まった。
バシッ!! ドンッ!! バーン!!
オレンジボールまでの大会ではありえないようなスピードと威力のサーブだった。(後で分かったことだが、相手の子は他県ではかなりランキングが高い選手だった)
息子はボールにラケットを当てるだけで精いっぱい。相手のボールを1球も返せないまま、息子のサーブ練習が回ってきた。
パッシュ。
無駄に回転のかかったボールはネットを超えない。
初めてのグリーンボール大会ということで極度の緊張をしており、サーブが1球も入らなかった。
不安を抱えたまま試合が始まった。
試合
試合が始まってからも防戦一方だった。
相手の速くて重いサーブが返せないだけではなく、自分のサーブもまったく入らない。すぐに息子は追い詰められた。
そして、あっという間に試合終了。
1試合目を終え、コートから出てきた息子の目には「悔しさ」が滲み出ていた。
きっと、不甲斐ない自分のプレーに対しての感情だったのだと思う。
そして息子は次の試合も負けた。
グリーンボールの圧倒的なスピードと威力、そして自身のサーブの不調が敗因だったことは、誰の目にも明らかだった。シングルバックハンドなんで…なんて言い訳はできない内容だ。
これで下位トーナメント進出が確定した。
その後、下位トーナメントでは何とか1勝したものの、次の試合ですぐに負けてしまい、この日の試合はすべて終了となった。
不安と孤独
テニスの試合は基本的にコーチングが認められない。特にシングルスの場合は、コートに足を踏み入れた瞬間から試合終了まで、1人で戦うこととなる。これは他のスポーツでは類をみない性質のように感じる。
ジュニアの場合(特に低年齢)、悔しくて泣いてしまうこともあれば、不安と孤独で泣いてしまうこともある。子どもからするとテニスコートはとてつもなく広く感じるからかもしれない。
トーナメントでは、試合が進むにつれ、負けた選手は帰っていくので必然的に観客は減っていく。優勝しても表彰式は選手と親、そして関係者のみ。こんな殺風景な光景はざらだ。今日の対戦相手は孤独な戦いを共に乗り越えた戦友になるのかもしれない。
やっぱり、ジュニアテニスは残酷だ。
by アホウドリ