前回、息子が初めてレッドボール大会に出場したときのことを書いた。
その時は、試合の雰囲気に飲まれてしまい、自分のテニスができなかった。あれから1年が経ち、息子(小学2年生)の2度目の戦いが始まろうとしていた。
今回の大会にエントリーしたのは小学1、2年生の12名。その中には1年前のレッドボール大会で息子が敗北を喫したA君(同じスクールだがレッスンの曜日が違い1年ぶりに再開)も参加していた。息子はこの1年、打倒A君、そして優勝賞品のラケットバック獲得という目標を掲げて練習に励んできた。昨年までは週1回のレッスンだったが、前回の敗北後、レッスンを週2回に増やした。さらにスクールとは別に土曜・日曜のどちらかは自主的に朝練をしていた。
前回の大会で年齢・背丈も変わらぬA君に負けたことが余程悔しかったのか、事あるごとに「A君が〜、A君が〜」とブツブツ…
試合開始直前、少しだけA君と話す機会があったのだが、A君は息子のことをあまり覚えていなかった。ここでも息子は「オレのことを覚えていないなんて!」とブツブツ…
敗者は勝者のことをよく覚えているが、勝者は敗者のことなど覚えていない。
そんなこんなで、予選リーグが始まった。
予選リーグはスコア的に危ういところもあったが、終わってみると5戦全勝で決勝進出を決めていた。
別のコートで行われていた別リーグの結果が出た。なんと決勝戦の相手はA君だった。彼もまた別リーグで全勝していた。息子は、1年前の試合を思い出し、少しネガティブに呟いた。
「突然サーブが入らなくなるかも…」
試合・決勝・1年前に負けた相手・練習の成果が出せるのか、そんなプレッシャーが息子を襲う。
しかし、息子とて雪辱を晴らすためにこの1年間練習をしてきたのだ。前回の対戦では、1球目のサーブがフォルトにならないように必要以上に力を抜いてしまい、それが仇となり形勢が一気に相手に傾いてしまった。息子はその時のことを覚えていたらしく、「1球目は思いっきり振ってみる」と言い残し、コートに向かった。
そして、決勝戦が始まった。
息子のサーブからだ。緊張の1球目。予告どおり力強く振り抜いた息子のサーブはレッドボール大会の小さなコートに収まった。エース。これで息子の緊張は一気に解けた。
その後もサーブやリターンでポイントを順調に取っていく。あまりにも試合の展開が早く、A君は焦っていたようにみえた。A君は息子と同じペースで試合を進めるが、サーブが入らない、入ったとしても息子のリターンが決まる。昨年と全く逆だ。一度傾いた流れはそうそう戻らない。あっという間に勝敗は決した。
初めての優勝。
この1年、夏の暑い日も、冬の寒い日も、雨が降っても、強風が吹いても、雪が降っても、そのときにできる練習をやってきた。この小さな練習の積み重ねが息子の中で大きな自信となっていったのだろう。初めて手にしたトロフィーは大会の大きさに関わらず価値がある。
さぁ、レッドボール大会は終わり、次はオレンジボール大会に向けて練習を開始しよう。
byアホウドリ