或る阿呆鳥に呟く。

~ジュニアテニス、映画、雑記、何でもありの備忘録〜

【映画】非ゲーマーに贈る「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」感想

ゲーム依存症が世界的に問題視される中、ゲームを通した「人との新しい繋がり方」を発信した作品。かつてファイナルファンタジー(以下「FF」といいます)を夢中になってプレイした人間の1人として、この映画の公開はとても待ち遠しかったとともに、果たしてオンラインゲームを題材とした作品が映画的に面白くなるのだろうか、と若干の不安を抱えつつ鑑賞した。

 

しかし、私の不安は杞憂に終わった。

 

ショートムービーやテレビCMのような過剰な演出は控えられており、ドキュメンタリ番組のような起伏の緩やかな作品であった。

 

父親は息子にとっていつまでも「光のお父さん」なのだろう。

 

あらすじ

単身赴任中だったアキオ(坂口健太郎)の父・暁(吉田鋼太郎)が、突然会社を辞めて家に戻ってきた。アキオは、何を考えているのかわからない父のことを知りたいと思い、ある計画を思いつく。それは「ファイナルファンタジーXIV」に父を誘導し、自分は正体を偽り一緒に冒険に出るというものだった。こうして「光のお父さん計画」が始まる。(「シネマトゥデイ」より) 

 

今でこそゲームは「趣味」として確たる地位を築いているが、当時(30年ほど前)は、子供の「遊び」とされ、大人お断りの風潮があったように思う。それが、インターネットを利用して世界中の人々と繋がることが出来るようになるや、立派な「趣味」として確立されたようだ。この作品はどちらかというと、かつてを知る大人たちに向けられたメッセージだったのかもしれない。

 

本作は現実世界とFF(ゲームの中)の2つの世界を交互に行き来しながらストーリーが進んでいく。一番驚いたのがゲームの世界の感情表現が非常に高いレベルで表現されていることだった。特に、思い悩んでいるような表情は下手な俳優が演じるよりも胸に刺さるものがあった。

 

オンラインゲームは自分の個性を遺憾なく表現できる数少ない場所だ。現実世界では若干暗めで目立たない人間がオンラインゲーム上ではギルドマスターとなり、多くのプレイヤーを率いて強大なモンスターに挑んでいたりすることだって珍しいことではない。

また、オンライン上では現実世界の年齢の概念がなく、老若男女関係なく対等である。ある意味、現実世界よりフェアな世界だ。オンラインゲームをしたことがない人はゲームの中の感情は仮想的なものだろうと思われるかもしれないが、そんなことはない。そこには、現実世界に勝るとも劣らない感情が確かに存在する。こればかりは実際に体験して欲しい。

 

映画が終わった後、何故だか息子(8歳)とゲームをしたくなった。一緒にゲームをした時間は息子だけではなく、父親にも大切な思い出になる。

 

by アホウドリ

【映画】恐竜って良いよね「映画ドラえもん のび太の新恐竜」感想

109シネマズで息子(小3)と鑑賞。駄目だな、40歳にもなると映画本編が始まる前の予告(「劇場版ポケットモンスター ココ」、「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ4人の勇者」、「STAND BY ME ドラえもん2」の3本)を観ただけも涙腺が…映画本編でも当然の如く、涙腺が崩壊してしまった。ヤバいはー、ドラえもん。

 

「映画ドラえもん」は私が子供の頃から変わらぬクオリティを保ち続けている数少ないアニメの1つであり、本作においてもその期待は裏切られることはなかった。今年(2020年)はコロナウィルスの影響もあって、多くの子供たちが楽しみにしていた夏休みが極端に短くなってしまった。もし、旅行などの計画が消えてしまった方がいたら、是非とも映画館で本作を観て欲しい。きっと記憶に残る夏休みになるだろう。

 

あらすじ
恐竜博の化石発掘体験で化石を発見したのび太がドラえもんのひみつ道具「タイムふろしき」を使って化石を元の状態に戻すと、新種の双子の恐竜が生まれる。のび太はキューとミューと名付けて見守るが、やがて恐竜を育てていくのが困難になる。彼らを元の時代に返すことにしたのび太は、ドラえもんや友人たちと一緒に6,600万年前の白亜紀へ旅立つ。(「シネマトゥデイ」より)

 

ドラえもんシリーズは本作に限らず、子供だけではなく大人が観ても楽しむことが出来るように作られており、「かつて子供だった大人」へのメッセージ性が強い。そのメッセージは、観る人の受け止め方によって変わってくると思うが、私の場合は「子供の視点を忘れないで」と言っているように感じる。大人になり社会に出ると、様々な新しい世界に触れることが出来るようになるとともに、子供の頃の小さくて純粋な感動は薄れてしまう。この映画はかつての感動を思い出させてくれる作品だった。

 

私が思うに「(子供向け)アニメ」と「恐竜」は切っても切れない関係であり、その中でも「ドラえもん」は特に相性が良い。普通の小学生が個性的な仲間たちと未来の道具を使い、時空を超えて冒険するストーリーは観ていて純粋に楽しい。

 

最近の「映画ドラえもん」は兎に角、アクションシーンの迫力がすごい。本作でもプテラノドン(っぽいやつ)との空中戦は必見だ。また、本作では旧「のび太の恐竜」のセルフオマージュも含まれており、ファンはきっとニヤリとしてしまうだろう。このシーンは本当に涙腺が崩壊した。(詳細は映画を観て欲しい)

 

少々映画のレビュは少なくなってしまったが、是非映画館で観て欲しいと思う。きっと優しい気持ちになれるだろう。

 

byアホウドリ

【映画】ドラえもんこそ最高のSFだ「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団」感想

今回は映画・ドラえもんシリーズから「新・のび太と鉄人兵団」をご紹介したい。この作品は1986年に制作されたオリジナル版と2011年に制作されたリメイク版の2つがある。ネット上ではこれら2つを対比するかのようなレビュが散見されるが、それは野暮というものだろう。事実、製作された年代や声優、そして(一部)脚本だって違うのだから安易な比較はできないし、したところでそこに価値はない。ただ、どちらの作品にも言えることは、出会い、別れ、そして再開といった「感動のツボ」を押さえた良作だということである。アニメのSF(サイエンス・フィクション)はイマイチ、と思っている方は考えを改めて頂きたい。この映画にはターミネーター2ヨロシクの人間と機械の友情、そして他人を思いやる気持ちが溢れている。

※一応、リメイク版のレビュとして投稿している。

 

あらすじ(新旧共通)

ある日、のび太の家の庭に空から巨大ロボットの部品が降ってきた。ドラえもんとのび太はそれを組み立てて巨大ロボット“ザンダクロス”を完成させる。ところが、そんな2人の前にロボットの持ち主だという不思議な少女リルルが現われる。彼女はなんと、惑星メカトピアが地球を征服するために送り込んだスパイロボットだったのだが…。(「allcinema」より)

 

機械たちの故郷「メカトピア」、ここは我々が住む地球と同じように力のあるものが弱者を支配する世界。この世界で生まれた機械たち(鉄人兵団)が地球人を奴隷にするために遠路はるばる宇宙を渡り侵略してくる、というインディペンデンス・ディや宇宙戦争、その辺りのSF映画に出てきた展開が話の大筋となる。そんなSF要素バリバリの脚本にファンタジーを嫌味なく入れてしまうのだから、映画・ドラえもんシリーズは侮れない。

アニメ特有の極端な切り口から繰り出される展開があまりにも見事で、ドラえもんの懐の深さを改めて感じる内容だった。優しい描写が多い他の映画・ドラえもんシリーズとは一線を画した本作だが、私はアリだと思った。それはキッズだけではなく、かつてキッズだったであろうオッサンもカッコいいロボットとその戦闘シーンに釘付けになること間違いなしだからだ。この迫力のある戦闘シーンはドラえもん史上に残るだろう。

 

そして、物語には紆余曲折があり少々造形が古い鉄人兵団と「鏡の世界」で一戦を交えることになる。ここは左右があべこべであること以外、現実世界となんら変わらない。しかし、その世界にはのび太たち以外の人間はもちろんその他の生物も存在していない。のび太たちが鉄人兵団に負けてしまった場合、鉄人兵団は鏡の世界から現実に這い出し破壊の限りを尽くしてしまう。このような緊迫した状況でも絶望せず前に進み続けられるのは仲間の存在があってこそだと改めて考えさせられた。やはり、ドラえもん・のび太・しずかちゃん・ジャイアン・スネ夫のチームは最強だろう。これは他のどんなアニメにもない魅力だ。

 

のび太がリルル(鉄人兵団のスパイ)と対峙するシーンがとても良い。リルルに向かって銃口を向けるのび太。しかし、どうしても撃てない。リルルはそんなのび太に「いくじなし!」と叫び攻撃をしてしまう。私はこのシーンを観るたびにのび太が好きになる。それは、彼の「撃たない姿」に人間としてのあるべき姿を教えられた気持ちになるからだ。心を持たない機械は0と1による完璧な判断しかできない、のび太の揺れ動く心にはそれらの数字による判断以上の強さが込められていたように思う。

 

この映画は神ってる(2016年流行語大賞)ので是非ご覧頂きたい。じゃ。

 

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byアホウドリ

【映画】新章開幕「ジェイソン・ボーン」感想

マット・デイモン主演、大人気スパイ映画の新章が遂に幕を開けた。平日のレイトショーにも関わらず其れなりに客が入っていたので、これは幸先の良いスタートと言えるのではないだろうか。私も早速109シネマズIMAXシアターにて鑑賞して来たので感想をここに記したい。歴代スパイ映画にはミッション・インポッシブルや007(ダブル・オー・セブン) など名だたる名作が揃っているが、果たしてこのボーンシリーズもそれらレジェンドに肩を並べる作品となるのか。 

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【映画】新しい親子の関係「バケモノの子」感想

人間とバケモノの師弟以上、親子未満の複雑な関係に青春恋愛要素を織り交ぜて描いた細田守監督、渾身の作品。どこか「千と千尋の神隠し」を訪仏とさせるバケモノの世界は細田守監督と宮崎駿監督(ジブリ)の確執に所以するのかもしれない。

それは我々観客からすると別次元の話であり、ここでの言及は必要ない。しかしながら、一言だけ申し添えるのなら、政治の世界では後出しジャンケンは有利と言われるが映画の世界ではそうではないという事を思い知らされた。

この映画を観て「あの頃のジブリは勢いがあった」と別の作品を思い出してしまったのだ。これはとても残念な事だ。

 

ghibli.jpn.org

 

あらすじ

人間界「渋谷」とバケモノ界「渋天街」は、交わることのない二つの世界。ある日、渋谷にいた少年が渋天街のバケモノ・熊徹に出会う。少年は強くなるために渋天街で熊徹の弟子となり、熊徹は少年を九太と命名。ある日、成長して渋谷へ戻った九太は、高校生の楓から新しい世界や価値観を吸収し、生きるべき世界を模索するように。そんな中、両世界を巻き込む事件が起こり……。(「シネマトゥデイ」より)

 

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所感

子供の頃、別の世界に繋がっていそうな場所をドキドキしながら探検をした事がある。この映画はありえない世界に迷い込んでしまった少年の話だ。これだけ聞くと少年の冒険記のように思えるが実際のところはそうではなく、寧ろ冒険記を期待してしまうと肩透かしを喰らってしまうので注意願いたい。
 
この「バケモノの子」には製作者が伝えたいメッセージが込められている。しかし、これを読み取れるのは少し大きな子供からかもしれない。

抽象的な表現をするジブリとは違い、この映画は具体的に言葉で伝えようとしている。だからこそ、小さい子供が理解できない小難しい話が登場するのである。逆に私のような大人からみると言葉に頼りきっている印象を受ける。これが世間の評価だろう。

 

私は予てより「アニメの生命線は声優」だと言っている。しかし、私の小言などは製作者に届く事もなく、俳優が本業の片手間に声優を兼ねる時代である。

俳優が主要キャラを務め、声優がサポートをする。俳優としては1流かもしれないが、それがそのまま声優の評価に繋がる訳ではない。その辺りがモロに出てしまったのが本作である。特に主人公・九太を演じた染谷将太が残念であった。

 

そう「そのまんま染谷」である。 かつて「ゲド戦記」を猛烈に批判した事を思い出した。

 

www.sakonet.jp

 

誤解なきよう申し添えるが、概ね声優陣は巧かった。殆ど芸能人で埋め尽くされている声優陣(構成)には違和感を感じざるをえないものの、意外とどうにかなるのだ。

でも、アニメの場合は絵と声の少しの乖離が違和感を生む。この辺りが難しいところだと思う。

 

作中でこんな表現がある。「闇」をまとうのは人間だけだ。そうなのかも知れない。他の動物は人間のような深い闇を持ち合わせないのだろう。こういった1つ1つの場面を切り取ると納得が行くのだが、どうにも纏め方が上手くなかった。

この辺りは私の主観が大いに入ってしまう所なのだが、やはり支離滅裂な印象を受けた。物語の前半と後半では全く作品のニュアンスが変わってしまっている。

 

まとめ

期待していた作品だけに厳しい評価になってしまった。もちろん、あらすじと絵を見ての判断であったので仕方がないのだが、もう少し丁寧な心情の変化を描いてほしかった。

細田監督の作品が優れているのは登場人物の心情の変化の描き方ではないか。そういったところが本作では見れなかったのが残念であった。 

 

byアホウドリ

【映画】人類の存亡を賭けた戦いが今始まる「X-MEN:アポカリプス」感想

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満を持して夏の超大作「X-MEN:アポカリプス」が公開となった。X-MENシリーズの8作目、そして一応最終章として世に送り出された作品だ。

しかしながら、日本映画界の扱いはとても酷い。例えば、私は関西でも屈指の大きな映画館に行ったにも関わらず、iMAXでの上映はなかった。また、4DX3D上映も1日1回という少なさ。

隣のジャングル・ブックは通常の2D上映に加えiMAX(3D)でも上映されていた。更に4DX3D上映も1日2回であった。

X-MEN、どれだけ期待されていないんだ。

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【映画】日本の夏、キンチョーの夏、そして映画の夏〜タイタニック感想〜

今週のお題「映画の夏」

夏の映画ではなく、映画の夏である。映画の夏ってなんだろうと考えていたのだが、学生時代の夏休みにまつわるエピソードとともに簡単な映画のレビュをご紹介する事にした。タイトルのキンチョーはまったく関係ないので悪しからず。

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